子供の頃から映画が好きで多くの映画をみたのですが、その中でも印象に残っているのが、「Yesマン」。ジム・キャリー演じるさえない主人公が、どんなことにでもイエスと言い出して人生が変わり始めるといった映画で、映画をみた当時はなんと前向きなアイデアなんだとインスパイアされたことを覚えています。
大学生時代から20代にかけては、このYESのパワーで多くを経験することができたと思います。
「ホームパーティーに来ないか?」「YES !!」→ 多くの友達ができる。
「こんなビジネス交流会があるんだけど?」「YES!!」→ビジネスパートナーとなるコネクションができる。
しかし30代に入り、この「YES = GOOD」という考え方が変わり始めました。
この変化に影響を強く与えた本が「Essentialism」という本です。
このブログシリーズでは私がこの本から読んで学んだこと・考えたことをシェアします。
目次:
すべてには限りがある・トレードオフの現実を受け入れる
時間・体力・リソースなど、全てには限りがあるという現実は当たり前のことのようで受け入れることができていない人は多いように感じます。
あと数分でミーティングが始まるというのにEメールの返信を始めたり。
15時までミーティングがあるのに、15時からの友達のイベントへ行きます!と答えたり。
どうやったら両方できるかなと考えてしまいがちです。
エッセンシャリズムな考え方は何をしないかを常に考えること、つまりは
全てを行うことはできない、この現実を受け入れる必要があります。
”経営戦略の神様”とも呼ばれる、ハーバード大学MBA教授のマイケル・ポーターさんの名言にも「戦略とは”何をしないか”を選ぶことである。」というものがあります。
この考え方をベースにすると、全てがトレードオフであるということに気づきます。
何かをすることで、何かができなくなる。
何かをしないことで、他の何かができるようになる。
自分さえもっと頑張れば任されたタスク全てができるんだ、という非現実的な考えから抜け出せるといいですね。
Yesの危険性
何事に対しても「Yes」と答えることがデフォルトになっている人が多いかもしれません。
考えてみても、Yesという人の方がいつもNoという人より好印象なイメージがありますよね?
また、Noと答えることでチャンスを見逃している、という考えが一般的かと思います。
私自身もよく仕事が終わった後にとても疲れているのに友達から誘われて、行きたくないけど、なぜか行かないと何かいい出会いだったり、楽しい時間だったりを見逃すことになりそう、そんな感覚からついYesと答えてしまうことがよくありました。結局は行ってみて対したことも起きず行かなきゃよかった、なんて経験も多々あります。
*このような現象を英語ではFOMO (Fear of missing out)とも呼ばれます。
しかしここで注目したいのが、「Yes」と答えることで見逃していることもある、ということです。
「No」と答えることでしっかりとした睡眠ができ次の日にとてもいい気分になれたかもしれない、あるいは家で読みたかった本を読めたかもしれない。
全てがトレードオフなのです。
またこの本で印象的だったのは、Yesからやってくる良いチャンスも時には諦めなければいけない、ということです。
なぜなら、全てには限りがあるからです。良いチャンスを全てものにすること自体が不可能なのです。これを受け入れないといけません。
なぜNoというのが難しいのか?
分かっているけど難しいのが、「No」という一言。
「No」ということが本当に心地悪く感じてしまいます。
これはあなたの意志が弱いからなのでしょうか?
いえ、あなたが人間だからです。
あなたの脳がこのようにしているのです。
私たち人間は原始人の時代から集団で生き延びてくることができた生き物です。
現代では食べ物や飲み物は一人でもコンビニに行けば手に入れることができますが、原始人の時代では、集団から嫌われてはぶかれることは生存の危機に関わることでした。
そのため、他者とうまく付き合うことを優先するようにプログラミングされているのです。
こういった現実があるからといって、「Yes」ということで、明日、1週間後、1年後に後悔しますか?
それとも「No」と答えて、この一瞬での嫌な気持ちに耐えますか?
むしろ丁寧に「No」と断ることで、相手があなたに尊敬の意を持つことだってあります。
Hell Yeah !! or No.
トレードオフの現実とYesの危険性を受け入れることができたなら、Yesのハードルを上げてしまうのも一つの手かもしれません。
Hell yeah !! (100% Yes)でないもの以外は全てNoと答えるのはどうでしょう?
私自身の過去の経験でも多くあるのが、友達から誘われた時に迷うことがあります。迷った結果、”こんな機会は滅多にないし”といった理由で、Yes、答えることがあります。
その結果行ってみていかなければよかった、と感じることが多くありました。
100% Yes ! と感じない限り全てNoと答える。
100% Yes ! とはどんな時?これはきっと誰しもが経験したことがあると思います。直感的にYesと答える時です。
もちろんYesと答えないことで何かを見逃すかもしれません。
しかし、これを受け入れないといけません。
答えに悩むことに時間を費やしすぎたり、あるいは無理矢理Yesと答え、無理にその誘いを受けたことは相手にも伝わります。
"Hell Yeah ! or No"ルールを取り入れることでこういったことが解消されます。
考える時間を守る
あれやって!これやって!
これに来ない?あれチェックした?
テクノロジーの発達でいつでもどこにいても他者があなたの頭にリーチできるようになってしまいました。
ものすごいスピードで情報と依頼が流れ込んでくるので、この着いていこうとすると、Yesと瞬時に答えることがデフォルトになってしまいます。
そうなってしまうと、本当に自分が行なっていることがessenntial(かけがえのない)なことなのか、それを考えることをやめてしまいます。つまりはデフォルトで生きていることになります。
毎日時間がないと嘆いているにも関わらず、毎日1時間、2時間も時間を費やしていることが果たして本当に必要なことなのかどうかを考えることもしない。
きっと生産性の低いミーティングに参加することに疑問を持たない人も多いはずです。
なぜ?と聞くと、いつも行なっているから、定例だから、という答えをする人も多いはずです。
メール、LINEなど外部からの障害フリーで自分と対話をする時間、考える時間を守りましょう。
考える形は何だっていいと思います。
温かいお風呂に浸かったり、ランニングしたり。
私の場合は朝、あるいは夕方に歩いたり、走ったりする時間を必ず持つようにしています。
歩きながら、仕事・プライベートのことを考えます。
たくさんの仕事をしているのに、なぜか前に進んでいない感じ。
そんなフラストレーションが溜まっている、そんな日だったなあと感じた時に、なぜかなあとふと振り返ると、この考える時間を疎かにしていたときがほとんどです。
すぐにコミットする前に他のオプションについても考える
仕事であれ、何かを買うときであれ、恋愛であっても、やってきたチャンスにすぐに飛びつき100%コミットをしてしまうパターンが多いかと思います。
誰かに頼まれたから、というシンプルな理由で本当に自分にとってかけがえのないものなのかどうかを考察することできず、結果的に後悔することが多いです。途中で気づいても、時間を費やしたので、という気持ちからやめることも難しいです。
Essentialistはそうでない人と比べて、100%コミットをする前により多くのオプションを考察します。
Sunk Cost Bias
「No」というだけではなく、自分にとってエッセンシャルなものではないこと、ものを切り捨てることも必要です。
退屈でつまらない映画なのに途中で止めることができず最後まで観たり、
これから絶対に着ることはない洋服を捨てることができなかったり、
タクシーを呼ばずなかなかこないバスや電車をずーっと待ち続けたり、
数年間付き合っている彼氏・彼女と明らかにうまくいっていないのに、今まで長年費やした時間のことを考えて、別れることを切り出せなかったり、
多大な時間とリソースを使ったプロジェクト、明らかにうまくいっていないのに、何も根拠もなくうまくいくと信じて中止することができなかったり、
このように、今まで費やしたコストのことを考え、合理的な判断ができなくなること
を「Sunk Cost Bias(サンクコストバイアス)」といいます。
簡単に言い換えると、もったいない心理といえるかもしれませんね。
自動化
自動化(オートメーション)を上手く取り入れることで、自分にとってessentialなことに使える時間をより多く持てるようになります。
明らかな自動化はロボットやAIなどのテクノロジーを使ったオートメーション。ロボット掃除機や洗濯機など。
シンプルなタスクで何度も自分が繰り返し行っていることに気づいたら、それを自動化できないか、常に考える癖を持つと良いと思います。
1番代表的な例が、FAQ(Frequently Asked Questions : よくある質問)
何度もよく聞かれる質問があるなあと気づいたらウェブサイトなどにFAQという項目を作ってそこに答えを記載する。
または友達に自分の住んでいる地域のおすすめを教えて!という質問をよく受けるようであれば、おすすめをリストにしてブログにしてしまうとか。
または教育やトレーニングの面でも、新スタッフのトレーニングで何度も同じことを新スタッフが入るたびに教えていて毎回自分の時間が取られていると気づいたら、トレーニング内容をビデオにとってそれをみてもらうとか。
日常の様々なところで自動化可能な場面があります。
自動化を助けてくれるようなサービスもたくさんあります。
ズームの複雑なURLリンクを1日に何度もいろんな人に送っている。
→
aTextという、テキスト置き換えソフトウェアを利用し、「aaaa」とタイプするとズームの会議URLが自動でタイプされる。
「会議ができる候補日をいくつか教えてください。」と聞かれ、毎回自分のカレンダーを見比べて、候補日を伝えて、、というプロセスに時間を取られていると気づいたら、
→
「アイテマス」というサービスを使い、相手に自分カレンダーから会議日を指定もらうようにする。
ほとんどの繰り返しをオートメートするサービスはこの世に存在します。
テクノロジーを使うことだけがオートメーションだけでなく、他の人にやらせる、ということもオートメーションです。
まずは明らかな例は、引越し屋さんを雇って家具などを郵送するのもオートメーション。
自分でやろうとすると何時間もかかるものをお金という代価と交換にやってもらう。仕事でグラフィックデザイナーにデザインを依頼する。
これだけではなく、常にレスを追求する上で役に立つ考え方は、周りにやってもらうように上手く引き出すことです。
会議で1番に手をあげて、私がやります!となんでもかんでも引き受けるのではなく、まずはじっと待って観察する。自分の部下がオーナーシップを持ってやります!と立候補してくれるまで待つ。
全てにMVP(Minimal Viable Product)の考え方を適応する
MVP(実用最小限の製品)という考え方は、Eric Riesさんの「リーンスタートアップ」という本を通してスタートアップ界隈を始め、ビジネス界で拡まりまった考え方です。
新しいビジネスや商品のアイデアがあったら、しっかりと時間と労力をかけて完璧だと満足できる状態にしてから顧客のもとに届けるのではなく、アイデアを提供する上で必要最小限の機能のみを持つ、もっともシンプルな状態で顧客に届けるという考え方です。
時間や労力といったコストを最小限に抑えて、コアなアイデアだけを顧客に体験してもらい、そのコアなアイデアに対する顧客からのフィードバックを集め、製品開発に役立ていきます。
この考え方を仕事だけではなく、健康や人間関係など全ての場面で応用していくことでエッセンシャルでないことに時間や労力を取られすぎることを防ぐことができます。
例えば、仲の良い友達が登山を始めたと聞いてあなたも登山に興味を持ち始めたとします。
週末に登山に行くことに決めました。周りのみんながそうしているからという理由で、まずはしっかりと登山靴と登山用の洋服を買って、アウトドアショップで登山用の食べ物も購入しました。
そして遠いけど2時間かけて友達がいっていた山に行くことにします。
このようにお金と時間をかけて登山に行ったのは良いものの、自分がイメージしていたものと全く違うことに開始20分で気づき始めました。
「登山なんてこなければよかった。。」
結局あなたは登頂することもなく、早めに帰宅することに。そしてこの登山靴を履くことは2度とありませんでした。
もしあなたがMVPな考え方をとるとすれば、
通常履いているスポーツシューズとウェアでいいので、とりあえず近くの山を登ってみる。そうすることで、「自分は登山が好きかも知れない」というアイデアを必要最小限の状態で試すことができます。
これ以外にも紹介できなかった素晴らしいアイデアが紹介されている「エッセンシャル思考」ぜひ読んでみてください。
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